[青息吐息]


「もしかして俺と大佐って、めちゃくちゃ身体の相性がいいんじゃねえの
?」

「そのようだな…」
男がそう答えると、エドワードは「聞くんじゃなかった」と呟き、ベッ
ドの上で盛大なため息を吐いた。


久々の休日の夜、ロイが食事を取ろうと街に出向くと、偶然東部に戻って
いたエドワードを見付けた。

彼も同じく夕食の為に一人うろついていたと知り、それなら一緒に食べよ
うと誘ったところまでは普段通りだった。


いつも時間が無いと言ってはすぐに立ち去ってしまうエドワードと、ゆっ
くり会話を楽しんだのは初めてかもしれなかった。

彼も珍しくよく笑っていて、このまま帰すのが惜しくなったのだ。

そのまま家に誘い込み、気付けば彼を組み敷いていた―――


「何で鼻の下伸ばしてニヤニヤしてんだよ?」
彼の官能的な姿を思い出し、それが顔にも出ていた事に気付く。
 「…ゴホン。まあ、互いに良かったのだし、何も問題は無い」
 事実最初こそ嫌がる素振りを見せていたエドワードだったが、快楽を与
 えられると敏感に反応し、すぐに甘い嬌声が上がったのだが。


 「問題大ありだろ。だって、俺初めてなのにあんな事されてスゲー気持
ち良かったんだぜ?もう女の人と結婚出来ないかも……」

マジかよヤベーよなーと、青ざめた顔で独り言をつぶやく彼。

 「それなら…」
言いかけてはたと止まる男。
 「え?何?」
続きを早く言えと急かすエドワードをよそに、ロイは全身から冷や汗がだ
らだらと溢れ出す。

(私は今、何を言おうとした?それなら…私と…)

今度はカチンと固まった大佐を、エドワードは訝しそうに睨み付ける。
「あ、他の男でも試してみるか!それで良くなければ俺は男専門じゃない
ってハッキリするよな?」

うんうんそうしようと、大きく頷くエドワード。

(まてまてまて―!私以外の男に触れさせるなど…)
「鋼の、もっと自分を大切にしなさい」
 「あ?大佐とやったんだし、3人も5人も同じだろ?」
(こらこらこら―!君はあと何人とするつもりだっ)
良くも悪くも決断力があり、こうと決めたら即行動の彼。
(これでは私はただの初体験の男だけで終わってしまうではないか…)

焦りに焦り、このままエドワードを帰せば取り返しのつかない事になるぞ
と、ベッドから起き上がりかけた彼を後ろからがっちりと抱きすくめる。

 「おいっ…?もう帰らねぇと、アルが心配するだろ!」
いつもなら暴れて罵声を浴びせられるのだろうが、今の彼は少し身じろぎ
するだけで本気で抜け出す素振りは窺えず、横から見える頬はうっすらと
朱に染まっている。


 「……参ったよ」
 嫌がっていないと分かるだけで、胸に甘い痺れと不思議な感情が沸き起
こる。

 「あんた、さっきから何言ってんの?」
会話にならない言葉を咎められて。
上目遣いで拗ねたように唇を尖らせる彼の仕草に、大佐は完全に白旗を
上げた。



-end-

2018-04-05

この後もう1回戦終えてから、でしょうね~

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